水庭に埋設された地下展示室と、水面に浮かぶように建設された茶室で構成されたユニークな美術館。「守破離(しゅはり)※」をコンセプトに十五代樂吉左衞門自身が設計の創案・監修しました。 収蔵作品は主に2000年以降に作陶された焼貫黒樂茶碗や黒樂茶碗、焼貫茶入、焼貫水指など。常に新しい樂吉左衞門の作品をご覧いただけます。
※千利休の「規矩作法 守りつくして 破るとも 離るるとても 本をわするな」から来た言葉
今年、樂吉左衞門館は開館15周年を迎えます。
2007年の開館以来、十五代吉左衞門・樂直入と思惟を共有する様々な事象や作家とコラボレーションした吉左衞門X展を開催してきました。
本展では、これまでのコラボレーションによって誕生した数々の十五代吉左衞門(樂直入)作品を通して、吉左衞門X展の軌跡をたどります。
第1回 展より、インドネシアのネーティブアートの影響のもとに制作された茶碗と茶入。第2回・第3回 展より、フランスという時空の中で生まれた新たな作風のフランスRAKU樂茶碗とフランス焼締花入。現代アーティスト高谷史郎(たかたに しろう)氏とのコラボレーション第4回 展より、樂茶碗の表面を2次元的に捉えた画像からつくった静止画のプリント作品。以降、2021年に開催した第12回 展に至るまでに制作したヴォルス、深見陶治(ふかみ すえはる)氏、齋藤隆(さいとう たかし)氏、マレーヴィチとのコラボレーションのために制作した白土焼貫茶碗、焼貫黒樂茶碗、焼貫茶入、黒い巌石茶碗(Black Rock)、白い巌石茶碗(White Rock)は、いずれも新たな直入の表現がうかがえます。
コラボレーション毎に生み出され、今もなお進化し続ける直入作品の数々をお楽しみください。
樂吉左衞門館では、開館以来「吉左衞門X」というシリーズで、十五代樂吉左衞門作品と何か(思惟を共有する作家であったり、事象であったり)とのコラボレーション展を開催してきました。第13回目となる今回は、佐藤オオキ*中心に設立されたデザインオフィスnendo(ネンド)とのコラボレーション展を開催いたします。nendoは、東京とミラノを拠点に幅広くデザインを手掛け国内外で高い評価を受けています。本展では、nendoならではの新たな視点で直入が制作した樂茶碗にアプローチします。茶碗の外ではなく内部・見込みを立体にする(可視化)など。ビジュアルだけでなく、その思想までもデザインする斬新かつ挑戦的な取り組みです。
佐藤オオキ
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院建築学専攻終了。デザインオフィスnendo
の代表。2006年、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に選出され、世界的なデザイン賞の数々を受賞。2015年、ミラノ万博「日本館」内ギャラリーの空間プロデュース及び日本各地の伝統工芸品とのコラボレーション作品をデザイン。2021年、東京オリンピック・パラリンピックの聖火台をデザイン。同年、大阪・関西万博日本政府館総合プロデューサーに就任。